借金取りと母の愛
私のお母さんは毎日のパチンコに加え、借金もしていた。
いくらくらい借金をしていたのかは未だに謎。
金融会社らしき封筒が家にたくさん届いていたのと、時々押し入れの布団の間からお母さんが隠した封筒がごっそり出てくることがあって。
多分結構な額、借金してたんじゃないかなぁ…。
お父さんが気付いて、全額返金したことがあったけど、貯金がなくなったって言ってたから。
あのときの私は、借金がとにかくなくなって欲しかった。
黒いスーツ着て、頭をオールバックでガチガチに固めた借金とりが時々家に来てて
「お母さん、いる?」
って聞くの。
もうそれだけですごい怖かった。
借金とりはずーっと外でウロウロして、お母さんを待っていた。
借金とりはお母さんを見つけると、色々話していて、内容は全然聞こえなくてわからなかったけど、時々お母さんは泣きついてることがあった。
確か妹の情報によると
「子ども連れてくぞ」
とか言われることがあって、泣いてたらしい。
それを聞いた私もすっごい怖くて。
「早く借金がなくなって欲しい。普通に暮らしたい。」
というのが当時の私の願い事だった。
それだけで超幸せだと思っていた。
毎日お母さんは帰ってこないし
電話線は勝手に切っちゃってるし
大量の封筒は押し入れに隠してるし
借金返せなくて、家族のお金はとっちゃうし
私の給食費に使うはずのお金も使っちゃうし
あのときお母さんは色んなことから逃げていた。
毎日迷惑ばっかりかけられて、家族のことをこんな目に合わせてばかりいるお母さんは家族の誰のことも好きじゃないんだ。
自分が一番大事なんだって思ってた。
そうして
私が大好きだった、一番守りたかったはずのお母さんが
いつの間にか大嫌いな存在になってしまっていた。
それがすごく苦しかった。
今やっと気づいたよ。
借金とりに「子どもを連れてくぞ」って言われて泣いてた
ってことは
お母さんにとって私たち姉妹は大切な存在だったんだよね。
ちゃんと私たちは愛されていた。
お母さんも辛かったね。
今まで気づいてあげられなくてごめんね。